笠ヶ岳〜弓折岳〜鏡平 (2897.5) (2588.4) (2300)

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2009.8/28(金)〜29(土)(1泊2日)  単独登山(ザック=20.0kg)   テント泊  前夜車中泊 

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1日 深山荘P   笠新道登山口   杓子平   笠新道分岐   笠ヶ岳
テン場
  笠ヶ岳頂上   笠ヶ岳
テン場
 
(着) (前夜)11:00 6:09 10:15 12:20 13:40 15:10 15:45
(発) 5:00 6:15 10:40 12:25 14:30 15:20 (翌朝)6:00
2日 折戸岳分岐   秩父平    大ノマ岳   大ノマ乗越   弓折岳   弓折乗越   鏡平山荘   シシウドが原
(着) 7:00 8:00 9:00 9:40 10:00 10:20  11:00 12:35
(発) 7:00 8:10 9:00 9:40 10:10 10:25  11:50 12:40
秩父沢   わさび平小屋   笠新道登山口   深山荘P   自宅   登り(含休) 縦走弓折乗越迄
(含休)
下り(含休)
(着) 13:35 14:40 15:00 16:00 19:30 8:40   4:20   5:35 
(発) 13:45 14:50 15:00 16:30 (休)0:35   (休)0:20   (休)1:15 

計画は、キツイが穂高連峰を横目で眺めながら笠新道にチャレンジして、笠ヶ岳、双六岳で満天の星空を記憶に記録して
2泊3日の予定だったが、悪天候の為と、結果的にバテバテで一泊二日で帰ってきました。とても厳しい登山でした。
 

前日車中泊〜1日目

前日、多治見を出て夜11:00頃駐車場着。何時ものようにランタンで灯をつけ焼き肉でも…と思っていたのだが満員御礼の車で既に
皆さん熟睡中らしく灯が全くない。もちろん今晩は山泊の車もあるだろうが、ランタンで独り騒ぐ訳にもいかず静かに食事を摂り、
12:00には熟睡していた。早朝4:15に目覚め素早い行動で朝食を食べ、予定より30分早く5:00には出掛ける事が出来た。

前日に用意した登山届を出し笠新道迄予定通り1:00時間。同じ年くらいの御夫婦と水を分け合い、そこから始まる
これからのドラマに期待しながら一気に足取り軽く急登を登り始めた。登り始めて直ぐに斜度の急さを実感させられた

12`のザック 曇り空 登山計画提出して 期待に胸膨らむ お助け風穴 笠新道登山口
           
駐車場の標高はおよそ1100m、笠新道
登山口迄は3.5キロで標高1350m、
杓子平の標高は2300m、笠ヶ岳は
2898m。今日一日の高低差はなんと
1800m。一時間に200m登ると
9時間。少し頑張らないとヤバいか?

急登を軽やかに登るが樹林帯で景色は無く
おまけに雲が出てきついジグザグの単調な
登りである。
     
登山道は整備されており歩きやすいが
何しろ急であるやがて1800mの標識を
過ぎる頃から少しづつ樹林帯から穂高が
見えそうだが今日は雲に隠れている。

半分を少し過ぎた辺りに1920mの標識
があり、ここから草付きのお花畑が広がるが
この辺りから余裕が無くなる。登山口で
出会った御夫婦に抜かれ単独の女性に抜かれ
自分でもどうしようも無いくらい
どんどんペースが落ちるのが良く分かる

頂上までの不安が過ぎる。
 
     
急登の梯子 草付きのお花畑 シモツケソウ タムラソウ オオカサモチ  

杓子平へは登山口から4時間かかり、かなりバテバテで気力での到着だった。雲は晴れづ、ガスの中の杓子平だ
先を越された御夫婦が休憩中でその目の前で足を滑らせ転んでしまった。かなり足に来ているようで心配そうに声を掛けて下さった。
休憩中三人の単独男性が登ってきたが皆かなりバテ気味での休憩のようだ。口々に『きついなぁ』とつぶやく…本当にきつい!

時々ガスが晴れて笠ヶ岳への稜線が身の前に見えるがまだまだ急登の連続でがっくりさせられる。
さぁ〜…気力で頑張るかぁ

稜線目指し岩場の急登をひたすら登る あと一息が遠い… もう二度と下らないぞ!稜線だ

杓子平からは稜線までの道のりがガスが晴れて見えている。かなりの急登を先行者が一歩づつ登っているのが手に取るように見える
そのくせ遠くの笠ヶ岳など肝心の景色は白いベールの中だ!かなり気持ちもへこんできたが後から来た三人に抜かれまいと先行した
御夫婦の後を追う…が、見えてはいるのだがどんどん距離は離れて行った。岩の急登をジグザグに手を掛けながらひたすら登り
やっとの思いで稜線へ、この時すでに後ろの二人に追い抜かれ稜線で休憩していた。『此処まで来てしまえば…』と皆でかばい合い
笠向けて稜線歩きの始まりだ。ゆっくりと写真を撮りながら歩いていると、ライチョウの親子が稜線上で出迎えてくれた

イワキキョウ  ライチョウ親子
     

稜線では追い抜いて行った単独が二人で休憩中、ここから一時間をゆっくり進む…微妙なアップダウンを繰り返しやがて折戸岩を通り
すぎるとテン場は目の前だ。依然ガスの晴れない天候の中、先に山荘でテン場代500円を支払いテン場に戻り
テント設営後再び頂上目指した。先に設営してから行けば一往復助かったのに…と後悔する。頂上に向けての時刻は16:30に
なっていた。登り8:40の総時間で苦しく遅かった割には計画より少し早かった。やがて頂上への平板上の道を15分くらいで
登りきると、まずは社があり先に無事山頂制覇を感謝し手を合わせる。その後頂上にて証拠写真を…しかし景色は記憶の中で想像する
しかなくとてもへこんでしまう山頂制覇だった。せめてテン場での宴会は楽しく…と歩荷したビールとワインでカレーうどんを
つまみに、程良い夢心地でやがて大粒の雨の音とともに浅い眠りに着いた。
…テン場の仲間は五張りだけで寂しかった。

テン場へ帰る途中、頂上へ向かう三人の男性とすれ違い、熱燗の日本酒手にしておられ、聞けばお神酒でお参りをするのだという。
この機を境に雲を散らしてくれる。と云うのだ。群馬から来られたそうでその言葉を信じて
あすの朝に期待しながら…

ガスに囲まれた笠ヶ岳山荘 頂上の証拠写真(純白の世界) 右奥に石仏の祀られた祠が見える

2日目

翌朝は雨の音に目が覚める。目覚ましは4時15分に合わせて置いたが4時前だ。3人のお神酒の効果も無くどうやら雨らしい…
同時に隣のテントも起きて片づけ始めているようだ。予定の双六岳をどうしようか悩む。今日下山するにしても着た道を帰るか
鏡平から帰るか?いづれにしても長丁場だ。


少し雨音が少なくなってきた処で、山荘まで朝のお勤めに出掛け同時に水を貰ってきた。山荘はまだ暗かったがトイレは賑やかだ
テン場に戻り、湯を沸かして寒天スープとパンで食事をしコーヒーを飲む。景色を眺めての食事が出来ないのは本当に残念。
また雨音も大きくなり中の片づけを先に済ませて暫く様子を見るが、やみそうに無く思い切って雨の中の撤収を行う。

隣の若者は早々に出掛けていた。山荘からの下山者も2組ほど挨拶を交わしながら通り過ぎて云った。
その中の1組は昨日の群馬の3人だ。ザックを担ぐ頃は既に6時近くになっていた。予定通りの時間だ。

雨の中、ガスの中、昨日登ってきた道を
歩き始める。下山することは心に決めたが
どちらに進むかは頭の中で整理がつかない

…雨の勢いが強くなり
登山道は川になっている
ただただ歩く。朝からへこむ

笠新道分岐では大勢の人が笠新道に向かった
とても悩んだが思い切って長丁場の鏡平へ
向かう事にして歩きだす。折戸岳分岐で
振り返れば誰も居ない。前にも見えない。
 
折戸岳登り口(垂直に登る)         
         
笠新道分岐が七時〜晴れていれば景色は抜群だろう稜線をほぼ平行に、
更には少しづつ下りが続き、疲れた足の痛みは感じられず歩きやすい。
この稜線は晴れた時にまた来たいな…と思った。

周りはハイマツに囲まれ穂高側は切り立っている。前方には双六岳〜三俣蓮華岳
黒部五郎岳が見える筈だ。2792mのハイマツ原を過ぎガレの道を下る辺りで
昨日、抜かれた単独女性と稜線で一緒に休憩した男性が追いついて
来て少しお喋りしたら、二人は御夫婦で消防士と看護師で、神戸から年に一度
忙しい仕事を休んで五連休で山と温泉を楽しんで居るとの事。

どちらも大変気さくで意気投合し、暫く同じ調子で話しながら歩いたが、
二人のスピードに着いて行けず自分が脱落した。聞けば歳は
58歳と48歳だと云う。とっても若く見えた。ガスの中ガレを一気に下ると
秩父岩を過ぎ、ここが道?と思わせるような岩の道を下ると、そこが秩父平だった
テン場からほとんど休まず二時時間…八時になっていた。
 
     
弓折岳への急登が始まる大ノマ乗越 急登の途中のお花畑 弓折岳頂上(2588.4)
           
秩父平からは、少し登り返しとなり少し緊張する着れ落ちたガレ場もあり楽しい処だ(晴れていればもっと)
天気は依然降ったり止んだりで景色はゼロ!こう云う登山は疲れる。ガレ場を過ぎると小さなアップダウンを繰り返し
大ノマ岳(2662m)へ到着。秩父平から丁度一時間だった。九時だ。

ホッテおけば通り過ぎてしまいそうな頂上だがケルンが建っていた。頂上の少し手前で今回二度目の雷鳥との出会いがあり、
暫く雨と疲れを忘れさせてくれた。そこからは単調な緩やかな下りが延々と続き、
周りにはお花が綺麗に咲いていて目を楽しませてくれるが…カメラを構える元気も無くなっていた。

逆コースで笠ヶ岳を目指すと、此処の長い登りと、秩父平からの登りが結構長く大変そうである。
キツイが一気に笠新道を登った方が良いと思われた。ただし荷物は12キロ位にして……大ノマ乗越し着は9時40分。

目の前の垂直の急登がきつそう…梯子あり岩場ありだが整備された急登で休み休み一歩ずつで、20分で登り切り
弓折岳制覇だ。雨は止んだがガスって何も見えづ。双六岳の分岐の弓折乗越は直ぐで、下からの登山者?双六からの登山者?
で、賑やかだ。此処からは一気に鏡平まで下りが続くが人が多くて心強い。途中少しだが雲が切れて槍、穂高が見えた。
           
 弓折乗越の双六への分岐 ミヤマトリカブト  鏡平山荘の鏡池が見える
           
一気に下山して鏡平で大休憩だ!下りがきつくなると、以前から痛めている右足の親指が痛く、気になる。
合わせて左足の小指が痛くなってきた。それよりも何よりも足の裏全体が痛みを覚えてきた。バテているのが解る。
整備された鏡平山荘 山荘前で50分の休憩 逆さ槍ヶ岳を映す鏡池(また来るよ)
  スープとパンで休憩し残った食料を少し多めに食べてゆっくり休み、11時50分に
下山開始だ。下山道は岩ばかりで歩きだすと直ぐ足の裏に痛みを感じた。かなり痛い。
どうしようもなく痛いが途中止まり、止まりでごまかしながらひたすら歩く。

沢状の地形の熊の踊り場を過ぎ、急な岩道を痛い足を持ち上げながら下り
シシウドが原のお花畑に着いた頃には雨もすっかり止み暑くなってきたので、合羽
を脱いだ。思えば今日1日雨の中だった訳だ。蒸し暑い風を受けながらイタドリが原
ガレ沢のチボ岩、秩父小沢、秩父平源流の秩父沢、小沢でタオルを濡らし身体を拭くと
疲れが少し癒され、今年は一度も行って居ない源流釣りを心が誘いかけた。

鏡平からの下山道はずぅ〜っと岩道で最後の林道に降りるまで続いた。良くぞ痛みを
こらえて此処まで来れたものだと感心させられるほど、限界に近い痛みだ。
           
熊の踊り場  シシウドが原 イタドリが原 チボ岩 秩父小沢 秩父沢
           
林道に出たのは14時20分。鏡平から2時間30分かかった。
足が痛く休み休みの割には参考資料と同じタイムだ。よく頑張ったと誉めよう。

しかし、此処からわさび平ら小屋までが遠い。標識には10分の林道歩きだが
この平坦の歩きがとても痛く歩けない。結局20分かかった。
あの標識タイムは絶対嘘だ!と思いながら大きなぶな林を気持ち良くくぐる。

わさび平らに着くと例の御夫婦が出掛ける所で自分のスピードも痛い割にはそんなに
遅くないのだと確信してしまった。来年は槍で会おう手…と言葉を交わしてさようなら
あなたたちのお陰で雨の縦走も楽しかったです…と感謝しながら。
 
  大木のぶなの林 
わさび平らから登りの笠新道登山口は
直ぐで、たぶん笠新道から下山してきた
だろう人達で賑わっていた。

此処からの林道歩きは、所々舗装されており
痛んだ足にはとても堪えた。

新穂高温泉のバスターミナルに下山届を
出して深山荘駐車場へは16時丁度の
着だった。
 
 
わさび平     穴毛谷から見上げる笠ヶ岳
           
限界を感じた今回の登山は反省点がいくつもあった。
ザックに無駄が多く急登の場合は雨で重くなる事も想定して最高15s位が自分の限界である事。
アルコールは持っていかない。買う事。病み上がりで少し体力的に無理があった事。1日の行程が長すぎた事
時間にゆとりを持たなかった事。等…

まだまだ考えれば色々反省させられるが、車に着いて足を見ると、左の小指の爪は完全に剥がれており、
右の親指の傷は血まみれになっていた。何時もなら温泉に浸かって帰るところだが、足の痛みと、眠気が心配で
着替えて直ぐに、1000円の恩恵を頂いて高速で高山経由で帰宅した。7時半の帰宅となった。

登り9時間弱、標高差1800メートル。帰り縦走を含めて10時間、

帰ったその日の夜は足がパンパンで、予定通り双六へ行っていたらどうなっていたか?と変更した事を正当化する。
本当に階段も下れないほど痛かったが、翌日の朝は痛みも半減で普通に動ける状態で、ゆっくり片づけができたのには
少々びっくりだ。

今度は晴れた日に双六経由で縦走を計画したいなぁ…と思う
 
お疲れ様でした

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