奥穂高岳(3190m) ホームに戻る
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2012.5/4(金)~6(日) 山岳会春山合宿 4名


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ゴールデンウイーク後半に山の会の春山合宿、奥穂高に出かけた。
天候と睨めっこして当初の計画より一日遅れの出発だ。それでも不安な天候の為
最悪は涸沢カールにてテント泊で雪山を眺めて帰る…位の覚悟で出かけた
それでもGW後半の予報の中では5日の土曜日が一番期待できるかな?
結構厳しい雪山を想定して不安と期待の奥穂高岳だ
夢にまで見た憧れの穂高!  いざ!

5/4(金) ----

出かけは瑞浪に4時集合、K兄貴とK君、Tさん、それに自分の4名で出発だ。未だ暗い中今回は
自分のランクルで19号を木曽に向けて走る。瑞浪から中津を過ぎれば一車線で、車列に沿って
順調に走る。大桑辺りで明るくなってきた頃コンビニで買い出しと朝食だ。
権兵衛への信号を過ぎ藪原から19号を離れ野麦集落へ、
天気は曇り空だが別荘地を超え堺峠を過ぎて野麦を走る頃には少し晴れて乗鞍の雪山が見える
目の前の雪山に! 皆『おぉっ!』テンションを上げつつ梓ダムを超えて沢渡Pへは6:30到着だ。
7時に予約したタクシーは未だでゆっくり準備をする。共同装備の食料やザイル等分担し
自分のザックに括り付ける。
到着したタクシーで出発、上高地バスターミナルへは7:15着だ。
分担した荷物を追加して担げば肩へずっしり!重いなぁ?

沢渡駐車場もそうだったがバスターミナルでも人影が少ない。天気も不安なせいもあるが、
それにしても少ないなぁ


人気の少ない早朝の河童橋を満喫して梓川沿いの道を明神まで歩く
何度来ても気持ちのいい場所だ。大好きだなぁ
明神岳は雲の中だ。今日はダメとしても明日に期待かな

沢渡から上高地へ 河童橋へ 梓川沿いを明神館へ
           
明神館から徳澤園、途中、奥又白池への玄関口の新村橋に挨拶をして横尾山荘へ
横尾山荘には10時到着、歩き始めて2:30だ。
一昨年はここから槍へ行ったよなぁ~。今年は憧れの奥穂高岳だ。
天候が今一で今にも泣きだしそうな空を見上げながら吊り橋を渡り涸沢に向かう。
此処からは初めての登山道になる訳で…山の神に挨拶だ。

梓川沿いを徳澤へ 新村橋 横尾山荘から 屏風の頭
           
此処まで快調に歩いて来たが吊り橋を渡れば登山道に積雪が、それも溶けてドロドロだ、
歩きにくいながらも列を成す登山者のペースに合わせて、少しスローペースで横尾沢沿いの登山道を
歩き上る。屏風の岩肌が真ん前に立ち塞がると、そこは本谷橋、残雪の広がる休憩スペースだ。
丁度この時雨も本降り?らしき雨になり30人ほどの人が雨具を着ける為に休憩中だ。
我々も同様に雨具着用とする。
アイゼンはもう少し…と付けずに歩く。
           
本谷橋からは本格的な雪道で
休憩したりしなかったりで
周りの人達の顔ぶれは
抜いたり、抜かれたりで
ほゞ同じ集団のまま登り続ける

途中、これから少し急になるかな?
って言う所でアイゼン装着だ。

雨降りと雨合羽、登りで汗だく!
結構風もあり寒いのだが汗は出る

そんな最悪の環境の中
何とか涸沢ヒュッテのこいのぼりが
見える所まで。

此処からが長かった。
見える目標が遠ければ遠い程
悪天候の時はキツイね。
横尾沢沿いを 雨降る中の歩行 もう直ぐかな
 
辿り着いた曇り空の下の涸沢、我らが館
           
そんな中兎に角歩いて涸沢ヒュッテに、13:56だ。
早々にテント手続きをして適当な場所にスコップでテン場を作り設営。
ちょこっとスペースが狭いかな?更に雪を削り広げてテント設営完了だ。
荷物を整理し、皆一斉に生ビールだ。
涸沢名物、生ビールにおでん!  カンパーイ。
後は言わずと知れた事、延々とテントの中でも宴は続き、男同志の親交を深めつつ
眠りも深めつつ…翌日の天気に神頼みしながら
風の荒れ狂う涸沢の夜は、眠れず?朝を迎えました。
           
           

5/5(土) ------

それにしても一晩中思いっきり荒れ狂った夜だったなぁ、深夜にトイレに行ったのだが
雪が積もり猛吹雪だった。
朝起きてテントがそのままで無事だったのが不思議位だ。
一旦予定の4時に皆起きたのだが荒れ狂う様子を目の当たりにしてもう少し…
結局5時半位に起床。辺りは既に明るく曇りではあるが嵐も収まり、幾人かのパーティーは
奥穂、北穂に向かって出発している、がピークは雲に覆われて見えない。
今日より明日の方が天気は悪くなる!と言う予報で判断し『行こう!』と言う決断に、

周りのテントから遭難の情報が聞こえてくる。白馬で6名のパーティが遭難?
今いる涸沢の直ぐ上の涸沢岳で低体温症で1名遭難?更に昨日奥穂からの下山中に
女性が滑落死頭に怪我?

ホントかよ!荒れ狂う北アルプスを目の前に緊張するが、決行の意思は固い。

早々朝飯を済ませ必要最低限モノを詰め込みザックを担いだのは既に7:30になっていた。
見上げれば頂上を目指すアリンコ行列が出来ている。
先ずはザイデングラードに向けて直登だ、アイゼンを利かしてストックを使い
ガッツで登るが既に汗が滲み出る。湿度が高いせいもあるが気温は低いのに汗だくだくだ。
上着を脱ぎ体温調節をしながらザイデングラードの取り付きへ、
此処からはかなりの急登となるが踏み跡を辿って登りきると白出のコルだ。

穂高山荘小屋の周りには幾つかのパーティーが休憩中だ
我々もエネルギーを補充し装備の点検、確認をして、ストックをピッケルに持ち替え
奥穂頂上に向けていざ出発だ。
ガスで見通しが悪いので全く
頭に無かったが、取り付きから
直登に近い岩場なんだ!
両手両足しっかり確保しながら
慌てず、ゆっくりと…
鎖、梯子…
既にビビるなぁ
 
朝のテン場から白出のコルを目指す 穂高岳山荘
           
岩場の次は雪壁が待ち受けていた。時々晴れるがガスの中だ
トップのK君の判断、一声でザイルを出す、トップにK君
スタンディングアックスビレーを上でして貰いザイルを頼りに
プルージックでピッケルとアイゼンでしっかり確保しながら
ゆっくり登る。ほかのパーティもザイルで登っている。
4名全員が登りきるのに40分程費やしただろうか?
サスガK君!頼もしい!
後はガスの中、いわと雪の踏み跡を歩き、もう一つの雪壁は
ピッケルで何とかクリア。
頂上だ!猛烈な風の中、祠の前で写真を撮り合い、少し休んだところで
足早に下山開始だ。
頂上には他三人の人達と一緒だった。
   
 
雪壁をザイルを使いクリア 
           
吹雪の中の奥穂高岳 穂高岳山荘と救助ヘリ、後方に涸沢岳
           
小屋までの下山時にも頂上を目指す何組かのパーティと擦れ違う
一つ目の雪壁を慎重に下りた頃から時々パーッと空が晴れて周りの山々が見える。
核心の雪壁はやはりK君リードでザイルを使い下山する。
丁度この時ヘ爆音とともに雲が晴れ、小屋へ救助に来たヘリコプターが数分刻みで二機やってきていた
きっと昨日の涸沢岳での遭難者の搬送だろう。
こんな光景を目の当たりにすると、なかなか複雑な気持ちになる。
自分の力量では決して登る事の出来ない雪山、連れて来てもらいリードしてくれるメンバーに
感謝だ。

雪壁を下り岩場を慎重に下り小屋へ最初に到着しデポしていったカメラを片手にメンバーを撮る。
この頃はアルプスの山並みが確認できる位に多少晴れて来ていた。

         
核心の雪壁、下りは怖い! 雪壁下の岩場、ほぼ垂直だ!
全員が小屋へ下山したのは13:20頃だった
頂上でのロケーションが無かったのが残念だったが、
岩場と雪壁を見上げながら、振り返りつつ、皆、達成感に感動していた。

登りの吹雪の中、的確な判断を下すのはなかなか難しい事を
身をもって経験した。今回は何とか慎重にクリア出来たが
果たして今回の判断は良かったのだろうか?
結論は誰にも出せないが、一つ一つの慎重な支持と行動は
正しかったと思う。つくづくそう思うのです。

少しだけ小屋前で休憩し、デポして置いた荷物を持って
天候が崩れる前に…と早々に来た道を下山する。
最後まで皆の
踏破を見守って
常に最後尾で
守ってくれた
Tさんの下山

皆をリードして
登頂に導いて
くれた
K君の
安堵の姿
           
上りではそんなに思わなかった雪の下山道も意外に急で、ちょっと滑れば止まらないような…
慎重に一歩一歩。ザイデングラードの下りでは、ちょこっと足を踏み外し滑るが
シリセード気分で思っているとなかなか止まらない。慌ててピッケルでの制御を試みるが
これも以外に止まらない。正直ヒヤヒヤものだったが何とか制御できて大事に至らず…
安易なシリセード、安易な気持ちは禁物だ。

そんなこんなで皆其々に帰路を急ぐが、半分くらい下った所で
稲妻と雷が鳴り響き生きた心地がしない。
周りの下山者含め皆一斉に脱兎の如く下山だ。
正直、ピッケルは放り投げたい気分だ。

稲妻は北穂方面で大きく光り、耳には雷鳴が鳴り響く。

やっとの思いで、かなりまばらになったテン場へ、14:50着だ
後は無事を喜び合いつつ缶ビールを開けて宴の始まりである。
時々響く雷鳴を気にしつつ、残った食料と酒で無事を実感しながら知らずしらずに眠りについた。
                                         

5/6(日) ----

雨の中、涸沢テン場を後にしてグングン下山、あっという間に横尾だ   明神を過ぎた辺りで逸れ友 恒例の河童焼き
           
四時起床予定を一時間寝坊して、目覚めて見れば雲が低く時々小雨が。
早々に準備をして、とっくに北穂へのチャレンジは諦めていて只管帰るだけだ。
朝食後直ぐにテント撤収して脱兎の如くに早足で下山だ。下りは早い!
途中雨脚が強くなり雨具を身に着けて、あっという間に横尾へ、後は梓川沿いを徳澤、明神へと
歩き続ける。明神からは一般の観光客も多くなる筈だが、この天気で非常に少ない様だ。
上高地、河童橋を通り過ぎバスターミナルへ、自分だけ我儘を言い河童焼きを購入。
100%リンゴジュースと一緒に食べると最高に美味しい、
自分の中で、何時しか上高地での恒例の食べ物となってしまった

その間待たせた皆と合流してタクシーで駐車場へ、
しもまき温泉で食事をし、温泉で3日間の汗を流して帰路に就く。
瑞浪15:30位だったかな?
順調に帰ってきました。



今回は天気が今一で少々リスクもあったが多くの事が経験できた雪山登山でした。
多くの事故の発生した北アルプスで、無事帰れたのは幾つかの的確な判断と
慌てない落ち着いたチームみんなの行動があったからこそ、そう思うのです。

しかしながら何時自分に降りかかるかもしれない事故、
決して他人事では無い気がします。

憧れていた日本で三番目に高い奥穂高への登頂、
チームの皆に感謝です

          

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