常念岳(2857m)~蝶ヶ岳(2677m)

安曇野三股より周回縦走
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2011.6/13(月)車中泊~14(火)~15(水) ---
6月の梅雨の合間をみてキタダケソウを見に行きたくて計画を練っていたが、肝心の南アルプス林道のゲートが
今月末で無いと開か無いのと、どうせ行くなら白峰三山の縦走もいいなぁ、と来月にまわし、
予てから目の前で見たかった残雪の穂高連峰と槍ヶ岳!

これだ!っと気持ちは既に快晴の常念~蝶ヶ岳を縦走していた。

しかし計画を練りながら情報を集めると結構雪が多そうで登れるかなぁ?
距離もあるし小屋泊にしようかなぁ?
そんなこんなでコースも迷いに迷い、天気とも睨めっこしながら、それに仕事の段取りとも睨めっこ。
アップっぷ!をしながら、天気と仕事と体力と丁度マッチングしたこの日を選びいざ!!

今年は晴れ男だと思っていた出足だったが、回を重ねて気づいて見ると雨にこそ遭っていないが
曇り空と晴れが五分五分で今回も不安だなぁ?
どうか快晴の稜線漫歩が出来ます様に…残雪の穂高連峰が見えます様に…
神頼みで出発だ!

いざ!は良いが装備が重い。
泊りはやはりテントしか考えられない、雪もありそうなのでアイゼンも、
ピッケルは要らないかな?と思うが一応…カメラと三脚…等などで22㎏を越した。
不安と期待に胸躍るアルプス縦走はどうなる事やら…

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1日目 6/14(火) --

6/13 多治見   豊科IT経由
三股P
  14日
三股P
  登山口
(1350m)
  稜線
(標高差857m)
2207m地点 前常念岳
(2661.8m)
(着)
21:57
出発 5:10 7:33 7:43 9:55
(発) 19:27 独宴会 4:52 7:38 7:59 10:00
常念岳頂上
(2857m)
  最低鞍部
(2410m?)
  岩場のピーク
(2512m)
  残雪鞍部
(アイゼン)
  木立のピーク
(2592m)
雪が無ければお花畑
の鞍部(2462m)
蝶槍
(着) 11:09 13:31 13:48 13:59 14:48 17:35 16:20
(発) 12:08 14:50 16:25
  横尾分岐   蝶ヶ岳
ヒュッテ
  車行き
(高速
)
  常念岳
頂上まで
  高低差   常念岳~
蝶ヶ岳まで
  今日の
歩行時間
(着) 16:39 17:03   2:30   6:17   1500m   6:00   12:17
(発)       207㎞         累積登り返し(約380m)   
これほど天気予報と向き合った事は今まで無かっただろう。これが梅雨の合間を狙った山行出なければ
此処まで神経を使う事も無かった。しかしお陰でそのチャンスは間違いなく訪れてくれたのだ。
ここしかない!此処を逃せば今年は見られないだろう。
どうしても残雪の北アルプス、穂高連峰を目の前で見たかった。
計画は冬の間に立てており時期だけが決まらずやっとその日を迎えたのだ。

夢中で二日間の仕事を月曜日一日で済ませ、確認し、よし!大丈夫だ!
終業と同時に一時間かけて家に帰る。もちろん高速を走ってだが、途中母の手術の様子を電話で
確認する。少し前に連絡があって昨日お見舞に行って来たのだが、今日手術だった。
心配無い!と言われてはいたがそれでも高齢の母の手術だ!気にならない訳じゃない。
電話の向こうからは、何もかも順調で本人も元気だよ。安心して行ってらっしゃい…

そんな言葉に安心させられ自分の我儘がどれだけ皆の理解?(諦め?)の上で成り立っているのか
つくづく感謝する、と同時に自分を戒めるがどうにも止まらない。

家に着くと前日準備しておいたザック、靴、着替え等をチェックしながら車に詰め込む。
今晩の宴の材料はクーラーに詰め込んで…確認!良し!
出発だ。25分で詰め込み着替えて家を出たのは19時27分
高速をひたすら豊科に向けて慎重に焦る事無くクルーズコントロールを110Kに合わせて
安定して走る。平日なので車は少ないなぁ。

宮田~伊那を右に見て休憩なしで豊科インターから真っ直ぐ目的地に向かう。
途中どこかのコンビニで明日の食料を!と思っていたら見慣れたデリシアの看板だ。行き先の道路の
丁度角にあり此処で買い物を済ませた。だれか隣にいるような気がしたのは錯覚だったかな?

そこから30分程で登山口のある三股駐車場到着だ。22時、家から2:30分、まあまあかな?
途中随分山の中の林道かと思いきや
道路は整備されていて温泉施設やらスポーツ施設、はたまたNHKドラマのおひさまのロケ地
等と書かれた看板もあり新しい施設のおかげで道路も快適に走れた。

到着すると人の気配の無いワゴン車が1台。きっと山に登っているのだろう。
と言う事は今此処には自分独りだ。早々に独宴を開く。さすがに標高1350mだと寒い
いよいよ明日は常念だ!蝶までの合計12時間の長丁場、不安で一杯だが…
まっ!何とかなるだろう

目の前で無く鹿の声にライトを向けると黙ってしまう。そんな鹿との戯れを肴にしながら
心地よく眠りについて居た。
目覚めは4:00!既に明るい。周りを見ると車が二台増えており既に人は居ないではないか
少々遅れをとったかな?靴を履き準備をしてザックを担いだのは既に5時近かった。

さぁ!夢にまで見た雪の穂高連峰、どんな顔で迎えてくれるのかな?

Pから林道を歩くと直ぐに安全祈願の建物が、計画書を提出して
奥にある登山道の分岐を常念に向けて登り始める。最初から急登
とは聞いていたが本当に結構な急登だ。晴れる筈の空も霧雨状態で
ガスがかかりこんな筈では?と思うがこの急登には心地よい気温だ。

約2時間で900近い標高を登り詰めるがちんたら登るより一挙に
高度が稼げて好きだな、九十九折りの急登をカメラ道具で3㎏、
テント道具で4.1㎏、アイゼンピッケルで1.6㎏、計約9㎏。
小屋泊だとテント装備が要らない。でも俺にはテントしか考えられない

テントを設営する時の何とも言えない達成感!中で過ごすときの
自由な空間、寝そべったまま入口を開ければ満天の星と残雪を
纏った3000m級の山の連なり、時にはイタチやらが目の前まで
遊び?に来てくれる。
だから山と一体になれるテントしか考えられず、重くても背負うんだ。

そんなかんだで重いザックを一気に、意外に軽く登り詰めると
平坦な稜線に出る。泥まみれの稜線の後は森林限界を超えて
一気に視界が開けた。が…
こんな筈では…ガスが舞いあがり展望が効かない。時折ちらっと
青空が顔を見せるが直ぐにどこかへ行ってしまうのだ。
豊科のデリシア いざ!
計画書提出 迷わず常念へ
木漏れ陽が気持ち良い 苔むしたナースログ
           
急登を終えれば広いテラスに堀金村の標識 晴れ間が少し期待される ガスの中のダケカンバ
           
此処からは大きな岩稜帯となり、ヘルメットををかぶり両手両足を巧みに使いながら、
ホールドと足の引っ掛かりを一つ一つ確認しながらゆっくり登る。
岩の感触手指に伝わり確保している実感が何ともいえず、好きだなぁ…こういうの

楽しみながらそれでも慎重に登って行くと前常念のピークが確認できるようになり
ピーク直前の石室に着く。少し中を見学し前常念のピークで記念写真。
此処からはパノラマの稜線歩きの筈だがまだ雲が厚く時々ちらっと晴れる程度だ。
晴れる筈なんだけどなぁ…今回もロケーションは望めないかな?

途中雷鳥に出会えた、白はかなり無くなって茶色の多い斑だった。可愛いなぁ
その後、後ろから猛烈な勢いで若者が一人追っかけてきて、見ればトレイルランだ!
挨拶を交わしただけで風のように常念に向かってガスの中に消えてしまった。凄いなぁ
雷鳥君には見向きもしない!見慣れているのかな?

そろそろ常念小屋からの合流かなと思われるところで…感動だ!
一気に雲が飛んでいる。常念が目の前にくっきりと見える。
遥か燕~大天井~赤岩~槍~穂高連峰まで見えるじゃないか
少し頭に雲が覆っているがそれでも一望だ。早く常念へ…と一気に登り詰める。
           
石室 前常念 出会った雷鳥
           
一気に晴れてアルプスが 常念岳頂上 槍が目の前に
           
左から焼岳、明神~前穂高~奥穂高~雲に隠れて涸沢岳~北穂高~キレット~南岳、中岳、大喰岳、槍ヶ岳~表銀座
表銀座の奥には水晶岳等裏銀座まで
           
登り始めて6:17コースタイム通りか?三脚を立ててパノラマを納め暫し満喫する。
4パーティ、7名の頂上だ。
蝶への稜線を見ると長野県側から登り上がった雲は上高地からの気圧に押されて弾き飛ばされている。
穂高側も同じように雲がこちらに流れて来ない。と言う事は
上高地の気圧が高くこの上空だけが雲ひとつない青空だ!なんと云う幸運な光景だろう
素晴らしいに尽きる。
来て良かった。そうして晴れてくれてありがとうだ。

写真を撮りまくり一時間ほどロケーションを満喫しながらゆっくりして、誰一人として行かない
蝶への縦走に向けて出発したのは計画より1時間早い12:00丁度だ。
これなら4:00にはテントを張れるかな?

岩場の下りは結構やばくそれも大きな岩の連続だ。慎重に下るが慎重過ぎて意外にスピードに乗れない
合わせて目の前の穂高から槍の光景が気になって気になって…
立ち止まっては写真を撮って、又歩いて、又振り返って…友達に携帯で写メなど送ったりして…
そんなかんやで常念を下った鞍部まで通常なら30分位の所を1:30もかけてしまった

おいおい!少し急がないと、でも陽は長いから…

鞍部から一つ目の岩場の急登を超えると先には真っ白な雪で覆われた山腹が広がっていた。
あそこを超えるのかな?と少し不安になるがどんどん下って灌木帯に入ると…ズボズボの雪だ。
おいおい!結構厳しいじゃないか
           
雲が飛んでく 岩場の岩柱 いよいよ雪が
           
アイゼン装着…持って来て良かった 急だよ 蝶槍をバックに…もう少しだ
           
アイゼン装着で安全に結構な急登を登り詰めると蝶槍の見える2595m地点に到着する。
此処からは先に見える蝶槍に向けてのアップダウンだ。下り始めはまだまだ雪が多く
やっと新芽が出始めた春の訪れの世界だ。緑が綺麗だ。少し早いが花も所どころに咲いている。
そしてなんといってもこんな林の中は小鳥の囀りが耳に優しい。とってもきもちいい!
なぜだか今回は距離もアップダウンもかなり厳しい筈なのに意外に軽やかに足が進むのは
そんな自然に耳や目が向いて居て、辛さとかを忘れさせてくれているのかな?そんな気がする。

そんな癒される心地よい新芽と残雪のコントラストの中を歩くといよいよ蝶槍への登りが始まる
最初は残雪の急登のゲレンデだ。アイゼンを外すとダケカンバの林間を過ぎて
森林限界のハイマツの世界に入る。蝶槍は目の前だ。
蝶槍からは蝶ヶ岳と手前のヒュッテが一望できる。
そうしてなんといっても穂高が目の前だ。夢にまで見た残雪期の穂高連峰だ。
また今年も訪れたい奥又白池がしっかり見える。まだ雪の中だ。また行こう奥又へ。
           
花一輪シナノキンバイ だいすきだなぁ 蝶槍 ミヤマキンバイ 眼下の上高地 蝶ヶ岳ヒュッテ
           
蝶槍からは二度ほどの軽いアップダウンを繰り返し蝶ヶ岳ヒュッテに着いたが、今日の行程の中で
このアップダウンが一番きつく遠かったなぁ。それにこの30分の間に少し冷たい風に打たれて
身体が冷えてしまったようだ。少々眠気が襲ってきた。5:00着だ
早々にテン場の受付(500円)を済ませ先行者3張りの真中にいい場所が空いており
我が家を設営する。

この頃は慣れたもので雨風が無ければ10分もあれば完璧だ。隣の方と挨拶を交わしテントに
潜り込んだ。少し汗ばんだ衣類を乾いたフリースの上下に着替えてビールと水を調達して
いざ宴を…と思ってビールを空けて呑むが意外に飲めない…眠いのだ。それと少し寒い。
そのままシュラフに潜り込んで気づいたら7:30になっていた。

少し疲れていたのかな?でも外はまだ薄明るい。
何か食べなければ…キの抜けたビールとつまみとでお腹を満たしたら結構元気になってきて
パスタを作って温まった。
そうこうしていると暗闇の中にくっきり月が明るく映えて、周りの山々を照らしているではないか
居てもたってもおられずジャケットを着込んで三脚片手に夜のロケーションを撮りまくった。
           

安曇野の夜景
           
月明かりに照らされた夜の穂高連峰、それも残雪模様がくっきり描かれてとても神秘的で美しい
しっかり目に焼き付けて興奮したままテントに潜り込んだが、疲れも手伝ってか気づいたら
朝だ!何とか御来光に間に合う4:00起床だった。  



2日目 6/15(水) --

6/15 蝶ヶ岳
ヒュッテ
  蝶ヶ岳
(2677m)
  蝶ヶ岳
ヒュッテ
  まめうち平
(1900m)
  登山口
(1350m)
三股P 多治見
(下道で)
(着) 起床
御来光
出発 8:35 9:54 10:09 16:00
(発) 4:00 4:32 6:27 8:45 10:42
  車帰り
(下道
)
  蝶ヶ岳から
Pまで(山菜採り)
  高低差     2日間の
歩行時間
       
5:20 3:27   1327m     15:40
  187㎞                        
蝶ヶ岳からの朝
           
安曇野は雲海に覆われて雲海浮かぶ山並みは遥か300m遠くまでを見渡せるという
光を浴びながらモノクロだった山々が急に鮮やかになって行く様は、とても美しく素晴らしい
時を止めてこのままで!そう思う。


あっという間の自然のスクリーンは様々な光景を映し出してくれる

さぁ!今日も活動開始だ!

快晴の中、御嶽、乗鞍、もちろん穂高など360度の写真を撮った後、
軽く朝食を摂り荷の片づけ、テント撤収
これを1時間ちょっとで済ませトイレも借りてテキパキ身体が動く
今日も快晴かな?少なくとも今は晴れて気持ち良い朝だ。隣の方に写真をお願いして
6:30にテン場を出発した。今日は蝶ヶ岳新道を一気に1300m下ります。

下山開始後直ぐに広大なゲレンデのトラバース、その後急降下の雪の谷、暫く残雪の残る登山道、
ずっとアイゼン装着で下って行く。
雪のひんやりした空気が体に纏わり心地よいのと清々しい。

来て良かったなぁ…気持ち良いなぁ…

登山道に雪が消えた頃からアイゼンを外しストックで軽快に体重を支えながらぐんぐん下る。
途中6パーティー10名位のかたと擦れ違ったが皆、蝶までなのか意外と荷が軽そうだ。

考えてみたら昨日の縦走は誰にも会わなかったわけで独り占めの縦走だったんだ
改めて感動だ!

小鳥のさえずりが本当に心を和ませてくれる下山道だ、時々写真に収めようとカメラを取り出すが
なかなかおさまってはくれない。空をバックにすると真っ黒な鳥になり、木の枝の間から狙うと
なかなかピントが合わない。それよりも何よりも、囀りは聞こえるが姿が見つからないのだ。
こんなチャレンジを何度か繰り返したり、途中で見つけた根曲がり竹を竹やぶに潜り込んで
少し頂いたりで、これまた時間をゆっくりかけ過ぎまめうち平を経て登山口に到着したのは
10:00近くになっていた。
まっ!帰るだけだし、慌てる事は無いのだから。
           
 蝶ヶ岳頂上 朝陽を浴びる御嶽山 槍をバックに出立だ!
           
広大なゲレンデ んっ? まめうちたいら コイワカガミ 本沢 帰ってきました
           
あぁ~!
今回も楽しい山行でした。
とっても充電できた有意義な
時を過ごせたなぁ

次は何処へ行くかな?
山麓線からサラダ街道を経て
松本市内が見渡せる喫茶店で
ゆっくりして
下道19号で無事帰りました

感謝です!
栃の木の花 松本の見渡せる喫茶店

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